1:ストリップは美しい夢である。
映画『彼女は夢で踊る』の魅力は、作品の中心に“ストリップ”というモチーフを据えたことである。一般的には「いかがわしい」「いやらしい」といったイメージで捉えられがちなストリップであるが、実際はそうではない。踊り子たちが自らの肉体を鍛え上げ、舞いを披露するという研ぎ澄まされた身体表現。文字通り“裸一貫”のパフォーミングアーツ。ストリップには女性ファンも数多くいるが、それはストリップというものが実はストイックな美の追求であることを彼女たちが知っているからだろう。 本作はその踊り子たちの演技を、美しいミュージックビデオを見るように堪能できる。主演の岡村いずみは英ロックバンド・レディオヘッドの「クリープ」で躍動し、ストリップ界のカリスマ・矢沢ようこは松山千春の名曲「恋」に乗せて切ない恋心を表現する。まったく異なる2種類の舞いからもストリップの奥深さは伝わってくる。男の夢と女の夢がステージで交錯して花開く一瞬を、本作でじっくりと味わってほしい。